■タイアゲ(大松明の火入れ) 昭和33年
【和歌森 太郎編 くにさき −西日本民俗・文化における地位−第3章 修正鬼会 半田康夫】抜粋
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シオマツリのあとも心経の読誦が読くが、それが終った瞬間、勇壮な法螺貝・早鐘を合図に、タイイレシは、一斉に席を蹴って本堂を飛出し、「馬場」に行ってタイアゲにとりかかる。長さ3間、火口の径約3尺という大松明7挺に点火するのである。
トシノカンジョウも阿闍梨ダイに点火する。
火は、本堂前に燃えている庭火を小松明に移し、さらに大ダイや阿闍梨ダイに移すのである。タイアゲの間、オハヤシが続けられる。院主以下諸僧も出て九字の印を結び安全を祈願する。
大ダイがあかあかと燃えあがるころは、すでに9時をすぎている。やがて、燃えさかる大ダ
イは、2名のタイイレと加勢の若衆の肩にかつがれ、ハヤシカタの笛・太鼓・鉦などのハヤソにつれて、7番のタイを先頭に六所権現(六柱社)や薬師堂・講堂等のある後山へ登って行く。その後に僧侶の「道行」や参詣者の列が続く。僧侶の先導を勤めるのは阿闍梨ダイを手にしたトシノカンジョウである。講堂前の広場に着くと、院主は大ダイ7挺に対して、いちいち般若心経を読み、「九字」を切り、それから六所権現に対して大ダイを献燈する。
つまりタイイレシが、1番タイから順序に大ダイを左右上下にそれぞれ3回ずつ振って、権現さまに対してホカイをトルわけである。権現さまに対するホカイのシコ(献拝儀礼)が終わると、1番ダイから順次坂を下って所定の位置で火を消す。
院主をはじめ全僧はそのま講堂に入って、いよいよ法華三昧に移るのである。 |
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■タイアゲ(大松明の火入れ) 平成21年
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残念ながら、私は、オオダイの点火を見ずに講堂へと向かった。オオダイが勇壮に担ぎ上げられる様子を見ようと考えた。
国東塔の下あたりでオオダイが来るのを待つ。
やがて、鐘とホラ貝の音が激しく吹き鳴らされてタイアゲが始まった事を告げる。遙か下の方に明明と燃え上がる4挺のオオダイが見える。
平成21年のオオダイは4挺、担ぎ手は、消防団と応援の国東高校の生徒。オオダイ1挺を10人程で担ぐ。1挺の重さは、100kgを越えると言われるが・・・
この石段を担ぎ上げるには相当な力が要る事が分かる。火口近くを担ぐ2名タイイレシの顔にはたまの汗が流れているのが見えた。
やがて、オオダイは講堂前に垂直に立てられ、その下で院主や僧侶達は般若心経を読み、六所権現に献燈する。
オオダイは、燃えさかり、講堂の境内に立つ木々をも焦がす勢いである。
献燈の儀礼が終わると、オオダイの火は石垣に打ち付けられて消され、消防によって水を掛け、完全に消される。
鉢巻きの下に締め込んだコブのお守りのお陰か、事故もなくタイアゲ、献燈の儀礼が終了した。
院主と僧は、講堂に入り、講堂内の儀式へ移る。 |
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